「はやぶさ」着陸のこと
小惑星探査船はやぶさが、
2005年11月20日に小惑星イトカワへ
サンプル採取のためのタッチダウンをした。
当初、タッチダウンはならなかったと報じられたが、
そのあとはやぶさからデータをダウンロードして、
詳細を検証したところ、
イトカワに着地していたことが判明したそうだ。
しかしながら、当初の目的のサンプル採取は、
行われなかったらしい。
プロジェクトマネージャー・川口淳一郎教授は、
11月20日当日の記者会見で、
どこかが接触したとしても、私としてはそれを接地とは言いたくない。
長時間障害物に接触し続けたという積極的な証拠はない。たとえそのような接触があったとしても、それは着陸ではない。
とおっしゃっていたそうだが、
小惑星に着陸し、離陸したことは、
人類の宇宙開拓史に残る偉業だ。
JAXAのえらい人、的川先生が、
「日本の宇宙探査が新時代を迎えた」
と言っていたが、まさにそのとおりだ。
次は何を見せてくれるんだろう?
はやぶさがイトカワへのタッチダウンを行う
2005年11月20日未明
私は徹夜でJAXAの特設サイトを見守った。
タッチダウンの灯台代わりに
88万人の名前が書かれた
ターゲットマーカーを投下したところまではよかったが、
高度17mに達したときに、通信不能になり、
上昇コマンドを送ったものの、行方不明になっていた。
その上通信局をアメリカ局から、日本局へ移す時間にも重なり、
通信を復旧させたときには、
イトカワの上空1kmのところで回転しており、
姿勢を取り戻すのに時間がかかった。
姿勢を整えないと、
地球からの指示を受けるためのアンテナを
地球に向けつづけることもできないので、
何よりも最優先される作業だ。
その後、通信不能の間、はやぶさが何をしていたのか、
蓄えていた情報を地球へ送信し、
解析の結果が出た。
はやぶさは、小惑星に着陸して、離陸した
世界初の宇宙探査機になった。
宇宙探査とは、人類未踏の地平を切り開く探検だ。
夢枕獏の書いた「神々の山嶺」じゃないが、
探検は成し遂げた証拠を他の誰かに伝えてこそ成立する。
今回のデータは、
神々の山嶺にたとえていうなら、
ヒラリーとテンジンよりも前に、
エベレストに登頂していたかもしれない
マロリーの初登頂の証拠カメラが
見つかったようなことだ。
歴史が変わった。
何よりも次へつながっていく結果を、
今の地球にいる我々の元に届けてくれたという
そのことがうれしい。
サンプルを採取するための弾は打ち込まれなかったというが、
もう一度チャンスは25日、
あるいはそのあとにあるかもしれない。
チャップリンは晩年
「あなたの最高傑作は」と聞かれた時に
「NEXT」と答えたそうだ。
「NEXT」
日本の宇宙探査もその言葉が必要だ。
そうでなくてはもったいなさ過ぎる。