「姑獲鳥の夏」の映画を見た。
小説版を読んだことのある人のための映画。
そう考えると、よくがんばった。
(ネタばれはしないつもりですが、見る前に読むと、
映画の新鮮さが無くなる恐れがあります)
昔、大ハマリした、京極夏彦の妖怪シリーズ。
当時から映画化の話はいくつも出ては消えていた。
それを、今回は本当にやるという。
こういうときのファン心理としては、
うれしいけど、ひどかったらただじゃおかない、
というふうになりがちだが、
時間がたつというのは、ありがたいもの。
「へぇ、ついにやるのね」程度の感慨。
でも、公開初日に見に行くぐらいには、
今でも好きなのだ。
で、見たのだが、
よく原作から逃げず、ほぼ忠実に映画化した、
その勇気をたたえたい。
原作に対する、愛なり、リスペクトなり、
思い入れが無い映画が多い中、
珍しいことだ。
キャストが、すばらしい。
メインキャラクタのイメージは、おおむね離れず。
年齢の問題もあり、現実的なラインの中では、
かなりの満足。
堤真一、安心。
勝負服が、紫でちょっと驚き。
黒だと地味だったのかな。
永瀬正敏、クールビズ。
阿部寛には、エキセントリックさが、足りなかった、
引っ掻き回すと収拾がつかなくなるという判断だろうか。
宮迫博之が不安ではあったが、大丈夫。
メインどころだけでなく、脇がしっかりしている。
キングオブ脇役、寺島さんまで出てるんだから安心。
また女優陣がいいんだ。
原田知世、清水美砂、篠原涼子は、美人だし、
田中麗奈は、かーいーし、
いしだあゆみは怪しいし。
篠原涼子って美人なのな。
おどろいたよ。
原作者の京極夏彦は、よく出てくるのに、
太っていて気づかなかった。
ふくみ綿してたんだろう。
にゃんこ、かーいーね、にゃんこ。
ストーリーは、おおむね原作と変わらず。
したがって、一度で理解するのは難しいと思う。
脚本は、説明的になりすぎず、好感はもてる。
盛り上がりを追求するほうではなく、
全編、坦々と進む。
本のページ配分を、そのまま時間配分に割り当てたみたい。
本だと、読み手のスピードが上がってくるところでも、変わらず。
だから、正直後半だれる。
私としては、思い入れのあるシーンが、
雨じゃなかったのが悲しい。
雨かそうじゃないかで、切迫感がずいぶんと違う。
雨の中走るってのは、よっぽどなことだと思うんだけど、
それをやると、坦々と描いてきたキャラクタが、
いきなり元気に見えることを恐れたのと、
ラストシーンが雨にできない理由があったからだろう。
精神病者に対する配慮もあるのかも。
でも、行動の動機付けがひどく薄れたのは否めない。
なお、本来ならば見せ場の、変身シーンもなし。
画面は、よく考えて撮られている。
広角で、かっちりした構図のシーンが多く、面白い。
フラッシュバック的にはさまれる映像に、
苦笑を禁じえないものもあるけど、許せる範囲。
スポットライトがあたったり、舞台的な効果もあり。
そういった効果を本当に使いたいところでいきなりやると、
緊張感のあるところに水を差される可能性を考えて、
序盤から使っていったんだろうけど、
効果を入れるシーンに一貫性が無かったのと、
必要なところで使ったときの新鮮さが無かったので、
かえって無いほうがいいくらい。
音楽は、地味。
坦々とした空気を出したいんだろうけど、
盛り上げ音楽なしのシーンが多く、
感情移入しづらい。
エンターテインメントなんだから、
もうちょっとアゲアゲで行ってもらいたかった。
舞台は、ちゃんとしてる。
病院も、めまい坂も、古本屋も、榎木津ビルも、
イメージどおり。
よくさがしたものだ。
ミステリー特有の、最期にすべてつながる快感は、
この映画にない。
それでも、見たかったものを、ちゃんと形にした、
今回の映画は及第点をつけられるレベルにあった。
原作を読んで、思い入れのある人には、
悪くない映画だ。
原作を読んだことが無い人と、
原作に読んだけど、思い入れの無い人と、
原作に思い入れのありすぎる人
には薦めないけどね。